サイトM&Aとは一体何か?その取引の増加の背景と実態に迫ります

サイトM&Aとは、直訳すると、mergers(合併)とAcquisitions(買収)の略です。

文字通りウェブサイトの合併と買収ということですが、最近注目されてきている言葉です。ここではその注目の背景やどういった内容の事が行われているか説明していきます。

1.サイトM&Aの増加の背景とは?

近年、サイトM&Aという言葉が徐々に注目されるようになってきましたが、それはなぜなのでしょうか?

サイトM&Aは、世間的にはあまり知られていませんが、現在年間で数百件以上の案件が取引されているといわれています。最近ではIT業界のビジネスモデルの一つとして盛り上がりを見せています。

サイトM&Aの歴史を見ると、話題になっている案件は大きな企業が大きなサイトを売買している事例が多いです。代表的なのはグーグルがユーチューブという動画サイトを買収したり、フェイスブックがインスタグラムという写真投稿サイトを買収した例です。

現在ではサイトM&Aの案件は大きなサイトばかりではなく、個人が運営しているサイトを個人が買うというような売買主が個人同士での小規模な売買も多くなっています。

その背景として以下の理由が挙げられます。

1−1.サイトが簡単につくれるようになった為

現在個人や、企業がサイトをもつことが以前と比べて比較的簡単になりました。コストをかけずにウェブサイトを構築してアフィリエイトなどで収益を上げるビジネスモデルが確立されています。

以前は複雑だったサイト構築も、無料のテンプレートや外注などで以前より簡単に構築でき、企業も集客や営業の窓口としてホームページを持つ企業が増えてきたことも背景に挙げられます。

また企業が顧客の信頼や、融資を受ける為に自社でウェブサイトを開設する事は一般的になっています。サイトが収益を生むものに成長すれば、それ自体の売買が活発になることは自然な流れといえます。

1−2.スマートフォンの普及

現在はスマートフォンの普及から商品やサービスの情報をインターネットから情報を収集する人が増えています。その年齢層も高齢者から、子供まで広がりを見せています。

また簡単にインターネット上で口コミや比較もできることから、今後もウェブサイト上での取引の需要は増える傾向にあると言えます。

1−3.サイトが資産として認知

小さなサイトは数万円から、大きなサイトになれば数千万円の価格が付くこともあります。ITテクノロジーが発達していく中でウェブサイトが資産価値として評価されるようになったことが背景として挙げられます。

SEOが重視され、検索エンジンで上位表示されるサイトは、それだけ集客もでき、人やお金が集まるようになりました。さらにその流れを自動化していけば、一つのサイトは自動的に収益を生み出す資産としてみなすこともできます。

このように、1つのサイトが、ネット上の資産のように価値を持つようになってきたことが増加の背景として挙げられます。

1−4.企業の戦略の一環として普及

サイトでの収益の挙げ方といえば、広告収入やアフィリエイト。ECサイトなどが一般的でしたが、サイトそのものを売買して稼ぐこともでき、企業だけでなく個人事業主も市場に参入し始め、注目されています。

サイトを売る側、買う側それぞれにメリットがあるからサイト売買が行われるわけですが、両者にとってのメリットは、

売り手:まとまったキャッシュが手に入り、他の事業にも投資できる。

買い手:成果が出ているサイトを運営、あるいは育てることができ、本業、副業として収益を見込める。

ということが挙げられます。

現在は、ITとは関係のない業界でも、インターネットを活用したマーケティングは欠かせません。今後、ウェブマーケティングの需要を考えると、企業の戦略の一環としての位置付けは大きくなってくると言えます。

企業や個人事業主がサイトを買う側の事情としては主には事業の拡大を目的としたサイトの購入が多く、ある程度集客ができるサイトを買収した場合は売上予測・事業予測が立てやすいという点が挙げられます。

その他、サイトを買う側の理由として主に以下が挙げられます。

①検索からの集客力を上げる為

ウェブマーケティングでは、検索エンジンから安定した集客ができるかどうかという点は大きなポイントになります。

しかし検索結果で上位表示させるための対策(SEO対策)は専門の知識、スキル、経験が必要で、中小企業だとそこまで、手が回らないというのが現状です。

ある調査ではユーザーは検索結果の10位以降、つまり2ページ目以降は見に行かないという調査結果もあるので、検索結果で自社のサイトが1ページ目に来るようにSEO対策をしたいところですが、SEO対策を外注するとコストがかかります。

そこで、自社でSEO対策を行うのではなくて、すでにSEOが高い関連サイトを購入してしまえば、自社のサービスや商品のリンクを貼って検索からのアクセスを誘導することができ、さらに自社の収益に貢献してくれることが可能です。

②利益率アップ

企業全体で考えたときに、本業で業績が上がらなくても副業で利益を上げている企業もあります。

このように、副業で安定した収益を生むために、すでにある程度成果を上げているアフィリエイトサイトやECサイトを購入して運用することで、自社全体の売り上げを上げることが可能で、サイトを購入してキャッシュポイントを増やしていく為です。

③投資目的

投資目的でサイトを購入する企業も増えています。自社のビジネスにあまり関係なくても、投資効果があるサイトがあれば、購入後は自社でサイトを育てていきサイトの価値を高めてから他社に売って、売却益を得ることが可能になります。

自社でサイトを成長させるノウハウがあれば、0から立ち上げるよりも大きな収益を生むまでの時間が削減できます。

これから成長が見込めるジャンルのサイトは投資目的のサイト購入に適しているといえます。

2.実際にサイトM&Aを行うには?

2−1.サイトM&Aの流れ

サイトM&Aをする上で一般的なのが以下の流れです。

①サイトの情報をまとめた資料を作る

②サイトの希望売買価格を設定する

③サイトの取引先候補を見つけてアプローチする

④サイト売買の交渉を進める

⑤サイト売買の基本合意書の締結

⑥サイト売買の最終契約締結

⑦サイトの引き継ぎ

以上の流れでサイトの売買を進めていく上では、サイトの価値をどう判断していくかや、仲介業者について、法律や契約面をある程度知っておく必要があると言えます。特に売買の初心者やノウハウがない場合は、十分な準備と専門家に相談することが重要です。

ここを曖昧にしたまま、取引を始めると訴訟沙汰にもなりかねないトラブルに発展するケースもありますので、十分に注意をするようにしましょう。

事項以降でサイトの査定基準や、法律、契約面をくわしく説明していきます。

2−2.サイトの価値を測る

ここでは実際にではどうやってサイトM&Aが行われているかを見ていきたいと思います。まず、説明しておきたいことが、サイトの価格を決める査定基準です。

査定する業者によっては違った項目を用意している場合もありますが、今回紹介する基準は一般的に言われている基準として説明していきます。

一般基準として以下が挙げられます。

  1. ①収益
  2. ②アクセス数
  3. ③会員数・メルマガ読者数
  4. ④SEO評
  5. ⑤将来性、独自性

それぞれ見ていきます。

①収益

サイトからあがる収益がどれくらいかは、買い手が一番気になるポイントで、査定する上でも一番価値を付けやすい項目です。

サイトの売上はもちろん、経費も重要なポイントです。特にECサイトの場合は在庫管理などの経費や事業の人件費などもかかっているはずなので考慮すべきでしょう。

サイト売買を行う際に、経費のことを見ずに売上だけを見てサイトの価値を判断してしまうことは注意が必要です。

②アクセス数

アクセス数と一括りにされてしまいがちですが、アクセス数はPV数、UU数などに分けられます。

また、アクセスの流入元はどこか?も判断材料になります。検索からのアクセスが多いのか、ソーシャルメディア(フェイスブック、ツイッター、ブログ、メルマガなど)からのアクセスなのかを細かく分析をすることができます。

例えば、ソーシャルメディアからのアクセスが多い場合、一過性のものと判断されることもありますが、もしそのソーシャルメディアに多くのフォロワーがいた場合はそのソーシャルメディアからのアクセスは安定して見込めると判断することもあります。

その場合は、サイトだけでなくソーシャルメディアも譲渡の対象になることもあります。

アクセス分析においては、無料で簡単にできるものから、有料で本格的に分析できるものまで様々です。

③会員数・メルマガ読者数

会員数・メルマガ読者数は「ユーザー資産」と言われていますが、ユーザー資産にも質があり、例えば所有している会員情報がメールアドレスだけなのか、住所や性別など属性を特定できる情報があるかでは、その価値も変わってきます。

また、メルマガ読者も熱い見込み客なのか、ただの登録しているだけの人かでは見込める収益に差が出るので、分析が必要です。人によっては、登録しているだけで流している情報を全く見ていない人もいます。

メルマガであれば、一つの参考になるのが、ユニーククリック数です。

これはメルマガ内で紹介したURLをどれくらいの数の人がクリックしているかを測るものです。読者数のうちの何%の人がクリックをしているかを見ることができます。

またアンケートをとってどれくらいの人が真剣に答えてくれているかを見る事も一つの指標として有効です。

④SEO評価

近年、スマホの普及により検索からサイトへアクセスするユーザーが増えている傾向にあり、SEO評価が高くなってきています。検索上位表示されることに対しての価値が高くなっています。

検索上位表示されていれば必然的にサイトへのアクセスが安定しますし、収益もある程度見込めます。そういった意味でも、現在収益が上がっていなかったりアクセスが伸びていなくても、SEOの側面から高い評価を得て、サイトに高値が付くことがあります。

⑤将来性、独自性

将来性、独自性は数字では測ることはできませんが、価値を判断する上で一つの判断材料になります。

サイトのコンテンツは価値が高く、充実しているけれど、今はまだアクセス数が少なかったりSEOで評価されていないサイトでも少し手を加えれば将来的に収益が見込めることがあります。

売り手にとってはこれ以上成長させられることはできないけれど、買い手がそのリソースを持っていればサイトが成長していきお互いにメリットが生まれます。

独自性に関しては、そのサイトの内容が他には真似できないようなオリジナリティあるコンテンツの場合、それが付加価値になることがあります。

ただ、独自性に関しては「個人に依存しすぎる独自性」の場合は、人によっては、逆に価値が付かなくなってしまうこともあります。それは、サイトを売買した後に運営者が変わってしまうとその独自性が損なわれてしまうケースも考えられるからです。

その典型的な例は「個人ブログ」です。もし個人ブログの売買を検討しているのであれば、そのブログの査定を専門家に依頼することが良いでしょう。

デューデリジェンスを行うことがポイント

以上の①~⑤をまとめると、ポイントはデューデリジェンスと呼ばれる査定をしっかりとされたサイトで取引するということです。

デューデリジェンスとは、サイトとその周辺の事業の資産価値を適正に評価することですが、サイトM&Aにおいては「ビジネス」「財務」「システム」「法務」の4つの観点から評価するのが一般的です。

適正なデューデリジェンスが行なわれているサイトは、そのデータには信憑性が生まれ、サイトを購入する際の決定的な判断材料にすることができます。

デューデリジェンスがしっかりと行なわれていることがトラブル回避に繋がります。

また、サイト売り手側も、サイトデューデリジェンスを行っていれば、買い手側に安心してもらうことができるので、取引がスムーズに進みます。

2−3.仲介業者に依頼する

サイトM&Aは、しっかりとした取引をしようとすると、単に「サイトが欲しいです」「サイトを売りたいです」だけでは済まず、個人情報保護法などの法律のことや、節税対策などの税金のこと、様々なリスクやトラブルなどのことについても考える必要があります。

とりわけ、ITリテラシーに関してはサイト売買のその場だけでなく、サイトの譲渡後の運営でつきまとう課題になります。

そこで、ITリテラシーがあまりない企業にとっては、それが足かせになってしまいサイト売買に踏み切れないということもあるようです。

トラブルの一例としては、サイト売買のやり方がわからずに流れのままに進めて行ったら不利な条件で契約してしまったというケースや、譲渡後にアクセスを維持できずに、サイトの売上も大幅に下がってしまったというケースもあります。

またサイトの売却価格の相場が分からず、定時された金額で売却したが、後に調べてみるとかなり安く売ってしまっていた。

表面の情報だけでサイトを買ってしまい、いざ譲渡されて運用を開始しようと思ったら、自分では到底運用できないサイトだった。というケースもあります。

そこでサイト売買をトラブルなくスムーズに進めるために交渉を仲介をしてもらう「仲介業者」の存在があります。仲介業者を通すメリットは以下に考えられます。

①両者にとって最適な売買をする

知り合いや取引先の紹介によって売却情報を知った場合、その他に適したサイトがある事を知らずに購入に踏み切ってしまうことがあります。

友人や取引先からの話だから「良いサイト」だと信じ込んでしまい、他に条件が良いサイトが売りに出されていることに気づかないこともあります。

また売る側も、しっかりと査定したらもっと良い条件で売却できる可能性があったとしても知人の紹介だと安く売ってしまうこともあります。

仲介業者を介することで、第三者に客観的に見てもらい、最適な取引をよりスムーズにすることが重要です。

②売買価格を妥当な金額にする

サイト売買の場合、サイトの価格を明確に判断する基準が存在しません。そのため、言い値で通常よりも高い金額を提示されたり、安く買い叩かれることもあります。

業者を通して適正なデューデリジェンスをしっかりと行い、適正な価格で取引することが重要です。

③適正なマッチングを受ける。

サイト売買仲介業者の役割の一つにサイトを売りたいという人と買いたいという人をマッチングすることが挙げられます。

ただマッチングすることだけの仲介業者もいれば、売買の商談や取引をサポートして契約締結までサポートしてくれる業者もあります。

あらかじめ自社の希望条件を上げておけば、業者がその条件を満たしたサイトを紹介してくれるケースもあります。

④トラブルを軽減させる

サイトM&Aにはたくさんの課題があり、またそれらの課題がトラブルの原因にもなりますが、それらの問題を軽減させるのがサイト売買仲介業者の存在です。

数万円程度の小さなサイトの取引では仲介業者がいなくても良いかもしれませんが、時にサイト売買は数千万円クラスの取引が行われることもあります。

そのような大きな取引の場合は、双方の利害関係のなどのトラブルが発生したときに専門的な立場でアドバイスを受けられれば、よりリスクが抑えられます。

優良な仲介業者がいれば安心して売買を進めることができます。

⑤質の悪いサイトを遮断する

ネットの世界には無数のサイトが存在しており売買の対象となるサイトも数え切れないほどあります。質の良いサイトが集まらなければ買い手にとってはメリットになりません。

そこで、仲介業者が介せば質の悪いサイトは市場に出る前に止めることができます。しっかりとサイトを判定して価値のあるサイトだけを市場に出すことができれば、買い手にとってメリットになります。

⑥デューデリジェンスをサポートしてもらえる

デューデリジェンスとはサイトを財務、法務、将来性、リスクなど様々な角度から査定をすることを言いますが、これは不動産売買や企業のM&Aでは当たり前に行われています。

しかしサイト売買においてはそのデューデリジェンスはしっかりと行われていないケースもあります。

デューデリジェンスがしっかりと行われていれば、そのサイトに投資する価値はあるのかを細かく判断することができます。売り手にとっても思っていた以上にサイトに価値があることがわかれば、高い値段で売ることができるので、メリットにもなります。

 

以上の6つが仲介業者を介するメリットになります。仲介業者の中には、メールのみのネットでのサービスや、担当者が丁寧にコンサルしてくれる業者まで様々です。

ただ、ネットで完結させようとすると直接人を介さないので、スピードが早い分トラブルが多いケースもあるようです。

サイトの金額だけ知りたい場合は、仲介業者を介さなくても査定だけ行ってくれる業者もありますので、査定のみ依頼することも有効です。

また仲介業者を介してもトラブルが発生するリスクもあるので、業者と担当者の実績の確認と優良業者はある程度は仲介コストもかかるという認識が大切です。

また、実績がある仲介業者の中でも担当者によっては実績が少なく、良いアドバイスをしてもらえないこともあります。業者の動きが全くなかったり進んでいる感じがしないと思ったら、担当者を替えてもらうことも考慮すべきです。

サイト売買におけるトラブル原因は、金額の交渉やサイトの情報の虚偽報告などの他に、「権利」や「法律」関係が原因でトラブルが発生してしまうことも多くあります。

訴訟沙汰にもなりかねないトラブルもありますので、次項目を参考にして十分に注意をするようにしましょう。こちらも、サイト売買の初心者であれば初めから優良仲介業者を介しての取引をしていくと良いでしょう。

3.サイトM&Aについての法律と契約

ここではサイトM&Aに関する法律と契約について簡単にまとめて紹介していきます。

サイト売買は案件によっては数百万円~数千万円の取引になることもあるので、一つの法律や契約が売買の成功を左右することもあります。

サイト売買に関する法律と契約を知らないまま取引を行ってしまったために、訴訟沙汰になってしまい余計なお金がかかってしまうというケースもあります。

3−1.サイト売買で最も気をつけたい法律

以下の3つの法律はサイト売買を検討しているのであれば把握しておきたいところです。

  1. 個人情報保護法
  2. 瑕疵担保責任
  3. 競業禁止義務

それぞれ見ていきます。

①個人情報保護法

情報化社会において、個人情報保護法は企業にとっては非常にデリケートに扱わなければいけない法律でもあります。情報漏洩で問題になると、多額の損害賠償が請求されたり企業の信用を損なうことにつながります。

サイト売買においての個人情報はサイトの譲渡と一緒に「会員情報」「メルマガ読者」などといった個人情報データが付随してくることがあります。

会員情報は個人情報保護法における「個人情報」に当てはまることが多いですが、そんな個人情報も一緒に買い取ることができるのか?という疑問も生まれるかもしれません。

結論からいうと、原則として会員本人の承諾が必要でありますが、買い取ることは可能です。

しかし例外として「営業譲渡に伴い、個人データが提供される場合は会員本人の承諾なくして会員データを受け取ることができる」

というものがあります。

つまり、サイトを含めた事業そのものをそのまま買い取るという場合は会員情報の受け取りも可能になります。

個人情報保護法に関しては、調査の目が厳しくなっていることもあるので、不安な場合は弁護士に相談しておきましょう。

②瑕疵担保責任

瑕疵とは、「欠陥・不具合」を言います。そこには予期しない欠陥や不具合も含む場合があります。

サイト売買では、そのサイト譲渡後に発覚したリスクや隠れた不具合などが存在する場合があります。また、譲渡前に報告されていたデータや売上と実際に運営した後に集計したデータが異なっているケースもあります。

瑕疵担保責任とは、このような瑕疵が見つかった場合に契約解除や損害賠償請求ができるように取り決めておく法律です。

サイトは手に取れないモノであり、どの状態を瑕疵と判断するかが難しいところがあります。どこまでを瑕疵と判断するのかなど、一定の基準が決まっていれば検討がつきますが、現段階で基準が決まっている訳ではありません。

サイト売買の案件ごとに条件が異なるので、一概に「ここまでが瑕疵」と決めるのは容易ではありません。

また、実際に瑕疵が発生してしまった場合にはどのように保証するかまで、しっかりと話し合って契約書に明記することが重要です。

・競業禁止義務

サイトを購入した後、しばらく運営してると購入したサイトと同じようなライバルサイトが現れて、売り上げが下がってしまった。よく調べてみるとその競合サイトの運営者は、サイトを購入した企業だった。

というケースがあります。つまりサイトの売り手側は、サイトを売却した後に同じようなサイトを再度運営し始めたということです。

これはサイトの買い手にとっては、サイト購入後にライバルサイトが出てくれば、大きなリスクになります。

そこで「競業禁止義務」を契約書に記載することで、同社によるライバルサイトの立ち上げを抑えることができます。

サイトを売却する側にとってはサイトの構築ノウハウは全て持っているので、以前のサイト構築の流れを踏まえてさらに強化されたサイトを構築することも可能です。

この競業禁止義務では、同様のサイト、またはそれに準ずるサイトの運営を一定期間あるいは今後行わないことを契約書内で取り決めることができます。

買い手にとっては必ず取り決めておきたい事柄ですが、売り手にとっては、今後同様の事業ができないとなると、サイトの売却を考え直すこともあるかもしれません。

同様のサイトとはどこまでのこと見なすのか、基準を契約段階で話し合い、契約に明記することが重要です。

②サイトM&Aをする上で知っておきたい契約内容

・「サイトを売る側」が契約書に記載すべきポイント

契約書のフォーマットは決まっているため、基本的な構成で契約書を作ることができますが、売買するサイトの条件や、譲渡対象物などによっては契約書の内容が変わってきます。

ケースバイケースですが、サイトを売る側が記載すべき項目は以下の通りです。

(1)譲渡対象物に「ならないモノ」の明記

譲渡対象物になるものは契約書の条文に記載しますが、「ならないモノ」についてまで注意が向けられないかもしれません。

買い手からの主張で、ECサイトの場合は仕入先の情報や、アフィリエイトサイトの場合はSEOのノウハウまで含めてサイトを買収したと言われることもあります。

特にサイト売買初心者にとってはどこまでを譲渡対象物にするかわからないと思いますが、「~だろう」は危険です。きっちりと明記しましょう。

(2)引き継ぎ期間の明記

売る側の引き継ぎ期間の明記が重要なポイントとしては、相手がウェブサイト構築のノウハウが無い場合に譲渡後にサイトの運営方法のサポートを求められることがあります。

もちろん、丁寧に運営ノウハウを教えることは重要ですが、いつまでもサポートできるわけではありません。

むしろ、サイトの運営ができなくなって売却するに至ったのに、いつまでもサポートしなくてはならないとなると、売却の意味がありません。

そこで、サポート内容・期間を含めた引き継ぎ期間を記載することがポイントになるのです。

・「サイトを買う側」が契約書に記載すべきポイント

サイトを買う側にとっては、契約書の項目がその後のサイト運営に重大に関わることもあります。サイトを売る側よりも慎重に契約書に記載する項目を精査する必要があります。

(1)サイト運営に必要なモノのを明記

サイト売買が成立して譲渡も無事に終わっていざ運営を開始しようとしたときに、「どうやって運営すればいいかわからない」ということになることもあります。

サイトを購入する側の中には、今までサイトを運営したことがない企業もあります。むしろ、そのような企業がサイトを購入したいと思うでしょう。

サイト運営は簡単にできると思いがちですが、更新するのに専門的な知識が必要ということもあります。せっかく良いサイトを購入したのに運営ができなくて売上が上がらないということもあります。

そのような事態にならないように、サイト運営に必要なモノは何かを洗い出して明記しましょう。

そして、必要な資産があれば売買の対象として譲渡してもらえるように交渉しましょう。

4.まとめ

以上のようにサイトM&Aは今後非常に活発な取引が行われる可能性があるビジネスモデルです。インターネットの普及で、今後サイト売買を行う個人、企業は増えてくるでしょう。

しかし、その上で日本においてはまだ事例が少ないことから、トラブルも少なからず存在し、注意すべき法律や契約内容があります。

優良な仲介業者や専門家に相談したり、自社の知識や経験を積んでおくことが今後有利に交渉を進める鍵となります。