経営者必見!M&Aの手数料の考えるべき重要な視点は?

M&Aにおいて必要な手数料とはどんな種類と考え方があるのでしょうか?今回は手数料の種類と算出方法や相場などについてわかりやすくまとめました。

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1.M&Aにかかる手数料は?

1−1.手数料の種類

一般的にM&Aを行う際にかかる手数料は「仲介業者」を介して発生するのが一般的です。

手数料の内訳としては主に以下の3つに分類されます。

  1. 相談料
  2. 着手金
  3. 成功報酬(場合により中間金)

そして以下は仲介業者の業務進捗に伴い生じる手数料一例です。

M&A初期検討→①相談料

対象会社の簡易調査→②着手金

M&A候補先の選定、打診

合意形成のための調査

基本合意締結→場合により中間報酬発生、成功報酬の10%

買収監査実施

M&A成立→③成功報酬発生、残りの90%

最近は①と②を無料にしている業者もあります。業者間で激しいサービス競争が繰り広げられているといえます。それぞれ見ていきます。

①相談料

企業のオーナーがM&Aを検討しているまたは、専門家による情報を聞きたいという場合に相談料として発生する手数料です。

この時点では具体的なM&Aへの行動を起こしていませんが、仲介業者の専門的な知識、助言、時間を相談料という形で買うことになります。

簡易の企業価値算定、株価評価レポートは無料、業者によっては有料の場合もあります。買い手企業の場合も買収先の情報提供を開始と同時に情報提供料を支払う必要がある企業もあります。

②着手金

仲介会社にM&Aを具体的に動き始めると言うときに支払う手数料です。

この時点では業者は将来的にM&A成立は保証はしていません。成立に向けて、仲介業者が動き始めることになります。各種調査や、企業評価を行います。

着手金は、M&A成立後、成功報酬総額から差し引かれる場合もあり、成功報酬額の前払いとみなすこともできます。

着手金は成立有無に関わらず、返金しないと言う業者もあります。支払い後はM&A成立まで一丸となって向かうことになりますが、よく支払い前に現実的にM&Aができるのかを良く確認しておく必要があります。

着手金を支払ったのに、話が全く進まないと言うケースや稀に成功の可能性がほとんどないのに、着手金のみ支払わされるという悪質なケースもあるようです。また業者によって着手金は無料から安くて50万円高くて500万円という業者も存在します。

③成功報酬

M&Aによって乗じた売買金によって仲介業に支払う手数料を指します。一般的にレーマン方式と呼ばれる取引金額に一定利率をかける料金体系です。もしM&Aが失敗すれば支払う必要はありません。

またM&A成立前にリテーナーフィーという中間金として月額コンサルティング手数料を設定している業者もあります。基本的に相手方企業と基本合意契約を締結時に支払うケースが多い様です。こちらも設けていない業者もあります。

以下は成功報酬手数料の参考例です。

成功報酬型の手数料、譲渡を希望する経営者のM&Aに関する相談は無料の業者が増えています。また正式に仲介契約を結んでから着手金+成功報酬という方式をとっている業者もあります。

中には以下の様に成功報酬を(株価+負債額)の移動総資産額に料率をかけている業者もあります。

M&A手数料例

仲介業者にとっては、M&Aの仲介手続きに関する手間暇や時間は会社規模によってそこまで大きく差はない場合もありますので、大きな売買額の案件ほど利益があがるようになっています。

逆に小さい売買額にも対応するために最低限度額を設けている業者が多いです。

最低限度額は安くて500万円,大手で2,000万円〜3,000万円が相場です。

仲介業者によっては、全く違う料金体系のところもあり、よく見極めて活用することが重要です。また手数料を公表していない業者はその都度交渉によって決まるとみてよいので、良く情報を収集する必要があります。

1−2.手数料の算出方法

ここではM&Aの手数料算出に良く使われているレーマン方式という計算手法を説明していきます。レーマン方式は取引金額に一定利率をかけていく方法です。一般的な利率は以下です。

5億円以下の部分→5%

5億円以上10億円以下の部分→4%

10億円以上50億円以下の部分→3%

50億円以上の部分→2%

例えば7億円のM&Aが成立したとすると、

【5億円×5%+(7億ー5億)×4%=3,300万円】という計算式になります。

12億円のM&A成立の場合は

【5億円×5%+5億円×4%+(12億円−10億円)×3%=3,900万円】となります。

1−3.取引金額算出基準

同じレーマン方式でも取引金額の基準扱いが異なる業者があります。大きく分けて以下です。

①譲渡金基準
実際の取引金額を基準として、一定料率を乗せる。

②移動純資産基準
株価+譲渡企業の負債額も含めて、一定料率を乗せる。

③企業価値基準
株価+有利子負債を基準として、一定料率を乗せる。

この基準でいくと、例えば、株価1億円、負債総額4億円、有利子負債が4億2,000万円の企業で株式譲渡でM&Aを成立した場合は、①〜③の基準の成功報酬手数料は、以下の様になります。

①譲渡金基準
1億円×5%=500万円

②移動純資産方式
(1億円+4億円)×5%=2,500万円

③企業価値基準
1億円+4,2億円=5,2億円
5億円×5%+2,000万円×4%=2,580万円

このように、業者の基準によって大きく手数料が変わってきます。①と②では5倍の手数料の差があり、③だと買い手の負担が増します。ただ、負債や有利子負債を抱えていない企業を買収する場合は、どの算出方法も手数料は変わらないという結果になります。

売り手が負債額や、有利子負債を多く抱えている場合は、慎重に仲介業社を選ぶ必要があります。レーマン方式は一見複雑ですが、よく考えれば極めてシンプルであり、上記の計算式に当てはめれば、おおよその手数料が算出できるでしょう。

1−4.その他の手数料

その他にかかる手数料として考えられるのは、売却側で、消費税、印紙税、登録免許税、不動産取得関連費用などは別途実費負担です。

また、株式譲渡時の純資産額にはのれん代や役員退職慰労金、引き継ぎ実施期間の顧問報酬額も含むケースがあります。特別スキーム採用、遠方出張料なども別途です。

また弁護士費用は、時間給で設定している業者もあります。業務内容は契約作成や法務デューデリジェンスなどの業務です。顧問契約をすると割引しているところもあります。

デューデリジェンスは財務、会計、税務や人事労務を希望する場合は別途のケースもありますし、様々な専門家に依頼する場合はその分費用がかかる場合がありますので、問い合わせが必要となります。

また中には、余分な人件費をカットして、一般仲介業者よりも格安手数料で仲介している業者もあります。

サービス内容を

  1. 売却案件の探索→電話対応のみ
  2. 買収側への打診や紹介説明→ネット、電話のみ

にして、直接訪問、コンサルティングを極力省き、別料金にすることによって低価格を実現しています。またネットでのオークション形式をとっている業者もあります。

格安手数料業者は売上高も20億から30億以下の企業を対象として、譲渡資産額は5億円以下の企業を対象にしているところもあります。

2.M&A手数料の相場は?

中小企業のM&Aの場合は、着手金の相場としては、【100万円から200万円】という相場が目安という人もいます。もちろんこれは会社規模によって大きく変わります。

中間金で言えば、成功報酬の10%〜20%程度、成功報酬は売買金額の1%〜5%が一般的な相場と言えます。最低成功報酬額は【500万円から2,000万円】が一般的でしょう。

他社と比較して、例えば着手金が1000万円などど提示してくる業者は、良くサービス内容を吟味する必要があります。特にM&Aの成功確率や、自社の売却の可能性、価値査定などをしっかりと判断しないと着手金だけ支払わされたということになりかねません。

M&Aの成約率に自信がある業者は、成功報酬時に大部分の報酬を設定しています。中には、完全成功報酬の業者もあります。

特に業者を選ぶ際には、マッチング能力が高いかを見極める必要があると言えるでしょう。いくら専門的な知識や作業のクオリティが高くても、そもそもの企業のマッチング能力が低ければM&A成立の可能性は低くなります。

業者の持っている情報量、データベースがどれくらいの規模で、信頼ができるか?口コミや、実際にその業者を使った人の声を聞いてみると効果的です。

3.手数料と業者選びの関係

ここでは、業者と手数料との関係について見ていきます。

まず、M&A業者は大きく分けて「仲介業者」と「FA(ファイナンシャル・アドバイザー)」の2種類があります。

違いとしては、仲介業者は売り手と買い手の両方から手数料を請求するのに対して、FAは、売り手と買い手に1社づつ着き、FA同士で交渉するので、着いた企業1社からのみ請求をすることになります。

特徴は仲介業者は売り手や買い手の双方のニーズを調整しなければなりません。双方のニーズとは売り手であれば高く売りたい。買い手であれば価値ある企業を安く買いたいというニーズです。

一方、FAは売り手につけば売り手の要望、買い手についたFAは買い手の要望のみを考慮すればよいことになります。仲介業者は中小企業やその他の一般的なM&Aを仲介するのが一般的なのに対し、FAは上場企業や海外企業が絡んだ場合に活用するケースがあります。

上場企業がFAを選ぶ理由は、あとで何か不具合が生じた場合に株主からの責任を取りやすい為だと言われています。

3−1.仲介業者は中小企業のM&Aで一般的に活用される

仲介業者は日本の中小企業M&Aでは一般的に活用されています。FAに比べて比較的成約しやすいと言われています。FAはお互いの利益を主張する傾向が強い為、交渉の長期化、破談しやすいケースもあるようです。

一方でFAを利用する企業の中には、仲介より自社の要望が満たせるという企業が多いです。仲介業者は買い手フィーが売り手フィーより高いケースが多いので買い手寄りの業者が多いという見方もあり、不公平感をもっている企業もあります。

売上規模が数億円以下という場合や、早く成立させたいと言う場合は仲介業者を選ぶ方が一般的です。また自社の価値に絶対的な確信があり、交渉が長引いても高く売却したいなどのニーズがあればFAという選択もあるでしょう。

4.まとめ

以上の様に、M&Aにおける手数料は業者によって様々ですが、一般的には相談料、着手金、成功報酬(中間金)に分かれます。

またレーマン方式という売買額に一定の料率をかける計算式が多く普及しており、自社でM&Aを考えている場合にはこの方式を活用することによりおおよその手数料が算出できます。

業者選びの際には、自社の負債金や有利子負債額も考慮に入れて、業者の成功報酬の手数料がそれらを含めているかも考慮すべきでしょう。

また法務、財務、税務などの専門家による別途料金やFAを活用するかなども手数料に大きく影響しますので、自社状況や予算をしっかり定めることが大切です。