M&Aとは何か?その背景と戦略、成功への鍵を徹底解説!

M&Aとは企業の合併と買収をさし、広い意味で提携までを含める場合もあります。複数の企業を統合したり、売り手の株式や事業を買い取ったりする事を指します。

今回は最近中小企業を中心に活発化しているM&Aが行われる背景と戦略、成功へのポイントに迫ります。

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1.M&Aとは?

現在の日本では、小売大手、食品、銀行、情報通信、アパレル、製紙業界などで活発にM&Aが行われています。公表データだけでも年間2000件以上は行われており、非公開のものも含めるとさらに多いと予想されます。

適切なM&Aは企業や関係者に大きなメリットをもたらし、自社に不足しているヒト、モノ、カネ、スキル、情報などを補い、事業の拡大や再構築が可能です。

ちなみに日本企業同士のM&AをIN-INと呼び、日本企業が海外の企業を買収するM&Aを「OUT-IN」、海外企業の日本企業買収を「IN-OUT」と呼びます。日本企業と海外企業のM&Aの6割はアメリカ企業とのM&Aというデータもあります。

M&Aは後継者問題の解決や業界再編に備えた経営基盤の強化、事業領域の拡大など企業の経営者のニーズを満たすことのできる効果的な戦略ツールなのです。

M&Aの種類は「友好的M&A」と「敵対的M&A」に分かれますが、日本においての7割のM&Aが中小企業というデータから見る時、当然ながら友好的M&Aが望ましいと言えます。特に中小企業は少人数で事業を運営しているところが多く、地元に根ざしている企業が多いためです。

友好的M&Aの定義としては、関係者全員がメリットが享受できるものであり、関係者とは従業員や取引先、金融機関なども含みます。特に中小企業は地域の信用や、雇用に大きな影響力があるので金融機関も友好的M&Aを望んでいるいるケースが多いのです。

反対に敵対的M&Aとは、買収される側の企業での取締役会で同意を得られていない状況で、買収側が非買収企業の株主に買収に応じる様に働きかけたり、買収をめぐって激しい闘争になることを指します。

特徴としては、敵対的M&Aは買収側や投資ファンドの長期展望がない利己的な理由から起こるケースが多い様です。明らかに従業員や労働組合や取引先からは歓迎されない内容で強行されるM&Aです。この結果、従業員の大量離職や取引先との関係断絶など車内が混乱する場合があります。

日本においても過去にこの敵対的M&Aの事例が発生しています。以上のようにM&Aとは企業間の様々な利害関係が絡み、経営陣だけではなく、従業員、取引先、金融機関など多くの関係者が多大な影響を受ける行為です。

1−1.なぜM&Aを行うのか?

企業がM&Aをおこなう根本的な理由とは一体なんでしょうか?ここではその理由を説明していきます。

①投資家ヘの有益なメッセージの為

M&Aを行う根本的な理由は、株式会社である以上、株主に対して有効なメッセージを送る必要があるということです。

2013年のデータによれば、日本の株式市場の約3割の株は外国人が保有しており日本の経営陣は彼らに有益なメッセージを送る必要があります。それは、彼らに大きなリターンをもたらすというシンプルなメッセージです。

リターンを投資家にもたらすためには、必然的に収益を上げるための効率の良い経営をする必要があり、そのためにスピーディーな事業の選択と集中をしていくのは極めて自然な流れと言えます。そのための効率の良い経営戦略のうちの一つがM&Aなのです。

②事業拡大、新市場の開拓

買い手企業の本業の市場が飽和し、収益が頭打ちになっている場合は、他分野の事業を買収することにより自社の新しい市場を開拓することにつながります。

売り手にとっても若手経営者にありますが、別の面白そうな新規事業を見つけて注力したいという理由から既存事業を売却して資金調達をするケースがあります。

以上のように買い手からすれば、事業の拡大、経営効率向上、売り手からすれば、事業の安定継続、発展、グループ会社の子会社であれば不採算事業からの撤退をして資金調達をするという理由があります。

1−2.中小企業のM&A増加の背景

最近の日本でのM&Aにおいては、中小企業のM&Aが約70%と言われています。その理由としては

  1. 後継者問題
  2. 市場の縮小から事業の将来性が不安
  3. 資金力のある企業傘下に入る

の3点が挙げられます。

①後継者問題

日本においては、戦後の日本の高度経済成長期に創業した多くの中小企業の創業者が後継者問題で悩んでおり、選択肢としては、

  • 親族か社員への継承
  • 株式上場
  • 清算、廃業
  • M&A

が考えられますが、親族か社員への継承は男性の子供がいない、他の会社に就職している、継ぐ意志がない、能力がないなど、スムーズにいかない場合が多く株式上場は条件的にハードルが高い現状があります。

清算、廃業は社員にとって最悪の選択肢であり、創業者によっても今まで築き上げたものがなくなり清算費用もかかります。さらに取引先や顧客にまで迷惑がかかるケースがあります。事業を存続し、社員の安定した雇用を守るとなれば、M&Aという選択肢が浮上してくるといった背景があります。

また株式を保有している会社オーナーは株式売却によって創業者利益を確保でき、個人担保や保証から解放され、売却利益でリタイヤメントをする高齢経営者も多いです。また役員などでそのまま関わることも可能です。

②市場の縮小から事業の将来性が不安

現在の日本の中小企業は国内、国外ともに熾烈な生存競争にさらされており、高齢化とデフレの長期化によって日本の市場が縮小している傾向にあり、事業の将来性に不安を抱えている経営者も多いのが現場です。

さらに縮小している日本市場だけでは生存が厳しく、海外に活路を見出そうとしている経営者も多く、友好的なM&Aを行うことにより、海外にてさらなる事業の発展、継続に繋がるとみている経営者が多いという背景が考えられます。

M&Aを行う買い手企業にとっては、成長と加速が目的で自社の内部資源を活用した成長ではなく、すでにノウハウや実績を上げている外部の資源を取り込んで時間を買うというメリットを一番の理由に挙げている買い手も多いです。

③資金力のある企業傘下に入る

買い手企業は売り手企業よりも資金力があり、経営財務の基盤がある企業が多いです。そういった企業の傘下に入ることで、資本力、信用力、営業力、人材力などの弱点を補い事業価値の向上が見込めます。

1−3.法律などの制度整備

現在のM&A取引増加の背景には、会社法が施行されて、組織再編が容易になったことが背景に挙げられます。

従来は会社の吸収合併や株式交換の際には株式を交付していましたが、現在では現金などの財産も交付できるようになりました。更に簡易組織再編や略式組織再編などの制度もでき、より簡便に組織が再編できるようになったことが取引増加の背景に挙げられます。

国としても外国企業に負けない競争力をつけたいという方針から、制度を改変し、支援したいという意図が見えます。こうした法律や制度の整備が取引増加の背景に挙げられます。

2.戦略としてのM&A

2−1.本業の集中と選択

グローバリゼーションが進行する現代は、世界的にも企業の勝ち組と負け組の2極化に分かれつつあり、本業の中においてもコア事業とノンコア事業の識別をしっかりとしなければいけない状況にあります。

そのため収益をあげている事業だとしてもノンコアビジネスは売却してコアビジネスに資源を投入する戦略を取る企業が増えています。このようにM&Aは事業の整理とより資源を集中させるためにおこなう意味があります。

さらに企業は、市場シェアや成長性、利益率等のKPIに基づき、事業を成長事業、維持事業、撤退事業に分類し、撤退事業はスピーディに売却して成長事業などの得意な事業へ集中させるという戦略が一般的です。

2−2.シェア拡大と事業エリアの拡大

デロイト トーマツ コンサルティング株式会社が2010年に調べたM&A経験企業によるM&A実態調査によれば、業界でのシェア拡大、国内や海外などの事業エリアを拡大するという理由この2つが主なM&Aの理由になっています。

シェアの拡大によって流通業者への交渉力拡大、顧客数が増加すればさらに有益な情報の入手が可能となることからM&Aに踏み切る企業も多いのです。

また縮小する日本市場の他に、海外で展開する場合は、知名度もブランド力も低い状態からのスタートになるよりも、すでに現地の知名度ある企業を買収することによって現地に自社製品を流すことも可能です。

あるいは現地企業の製品を日本へ持ち込むことも可能です。さらに自社に必要な技術を保有する企業を買収することによりスタートアップから立ち上げる膨大な時間が節約できるという大きなメリットがあります。

2−3.人口減少から見たM&A戦略

現在の日本の高齢化社会問題は頻繁に取り上げられていますが、2045年には日本の人口が1億人を切り、2065年には8,000万人、2085年には6,000万人を切るというデータがあります。

国内のみを主な市場としている食品、小売業などは海外投資から常に大きなリターンを期待されながらも事業は将来は縮小せざるを得ない状況です。

その打開策としては、現段階では海外特に発展途上国に進出する以外に道はない状況です。

すでに大企業を中心として海外の陣取り合戦が早い者勝ちで行われている今、ベストな経営判断としては、スピードをもってM&Aを活用し、先行者利益を確保すべきというのは妥当な判断といえるでしょう。

3.M&A成功への鍵

3−1.M&A成功3要素

M&A成功の為に重要な事は、以下の3つです。

  1. マッチング
  2. 条件交渉の仕方
  3. M&A後のマネジメント

①マッチング

良いマッチングの条件としてシナジー効果が生まれやすい、相互補完的で戦略上有益である。企業文化が似ている。というのが大切です。

また譲渡企業の経営者が一番に大切にしていること例えば「会社の事業の発展」「従業員の雇用」などを買収側が深く理解し、実行することが重要です。

そういった意味では、経営者同士の企業理念の共有が先ず重要といえるかもしれません。経営者が会社の10年後、20年後を見据えたビジョンとM&A目的の明確化が大切です。

自社の強み、弱みや必要な経営資源、外に何を求めどう発展させるのかなど、当たり前のことですが明確になっていない会社が多いので、専門家を通して戦略を立てることが良いマッチングの第一歩です。

②条件交渉の仕方

M&Aにおいてはどんなに良いマッチングであっても、条件面で双方にとってメリットがなければいけません。

その為のポイントは

  • 買い手は売り手の尊厳を守り、売っていただくというスタンスが重要
  • 買い手は早い段階で売り手企業の実態の把握と統合効果を検証し、高値での買い取りを避ける
  • 専門家を通してリスクを徹底的に洗い出して、許容範囲に収める。

という点です。

売り手は会社を譲渡するということは、自分の娘を嫁に出すような心境ですので、買い手はいかに信頼と安心感を様々な観点から相手に与えるということが重要と言えます。

また競合企業に取られたくない、陣取り合戦に勝ちたいという心理から売り手企業を過大評価しすぎて高値で買い取る傾向もありますが、客観的かつ公正な価値査定をおこない、自社の予算と照らし合わせることが重要です。

価格があまりにも予算とかけ離れている場合には買い取りを避けることも必要です。

③M&A後のマネジメント

M&A成立後のマネジメントはその後の運営をスムーズに進める為にもとても重要です。

その為のポイントは以下です。

  • M&A後の人材流動のプランニングを明確にする。
  • 売り手企業の社員のメンタルケアとモチベーション管理をしっかりとする。

特に人材のケアは重要です。現場が混乱をしては、顧客にも迷惑がかかり業績にも影響しかねません。職務と権限の明確化も重要です。買い手は当然ながらいきなり方針をガラッと変えるのではなく、徐々に方針を浸透させるのがセオリーです。

中には社員一人一人と個別面談を行い、賞与、給与体系の統一化、社内用語の統一化、円滑なコミュニケーションを図り成功した企業もあります。

結局企業も人で成り立っているので、M&A成立後の売り手企業の社員のキャリアプランを始めとしたメンタルケアが最重要と言えます。社員への公表のタイミングや丁寧な説明も欠かせません。

4.まとめ

以上のようにM&Aは、近年日本の中小企業を中心に取引の広がりを見せています。

その背景には後継者問題や、日本国内の高齢化、人口減少からの市場縮小、事業価値の向上、海外への活路などがあります。M&Aはこうした企業の課題を解決する有効な1つの戦略なのです。

また政府の国際的に競争力のある企業を増やす方針から法律が整備され、企業再編、提携はさらに広がっていくでしょう。

そうした中で、経営者のスピードある判断や、M&A目的の明確化、ビジョンの共有、人材のケアなどM&A成功への鍵はいくつかあります。

M&Aをさらにくわしく知りたいという方は今は各地で優良なセミナーや経営者勉強会なども活発化しており、常に情報を集めて準備しておくことから始めるのが良いかもしれません。