今回は誰でもできる判決を検索する方法をお伝えします。
データベースやインターネット、雑誌等で検索することは、皆さんご存知だと思いますが、他に、裁判所に申請し、閲覧できる方法もあるんです!
普通に生活しているだけでは、ほとんど見る機会のない判決文、ましてや判決を検索することは、なかなかないでしょう。しかし、これらの方法を知っていると今後役に立つかもしれません。
1.判例とは
まず、基本的な知識から…判例とは、一般的に、先例となりうる判決のことを指します。
類似した事件について、ある裁判所が下した判断が同一または他の裁判所が後に判断するに当たって参考となることは当然であり、弁護士や当事者本人が裁判の予測をするに際して重要な資料になります。
弁護士にとって、過去の判例はとても重要な資料になるんですね…
2.判決文とは
今まで判決文を見たことがない方のために、実際の判決文です。
裁判所が扱う事件には必ず、事件番号と事件名がついており、管轄の裁判所と担当部が記されています。
3.検索方法
3-1 データベースから探す
Westlaw Japan 判例、法令データベースより「法令、判例、審決等、書籍・雑誌、 文献情報、ニュース記事」など、あらゆる法律情報を検索できる日本法の総合オンライン サービス。
この3つを探せば大体のものが見つかると思います。
3-2 インターネットで探す
・裁判所のページ http://www.courts.go.jp/
トップページの「裁判例情報」から、「最高裁判所判例集」「高等裁判所判例集」「下級裁判所判例集」「行政事件裁判例集」「労働事件裁判例集」「知的財産権裁判例集」および「総合検索」で判例を調べることができます。
また、「申し立て等で使う書式等」
では、書式や必要な添付書類、記入例を見ることができます。
最近の主な最高裁判所の判例や『最高裁判所民事判例集』及び『最高裁判所刑事判例集』に登載された判決及び決定を閲覧することができます。
判決要旨と全文(PDF)を調べることができます。
『高等裁判所民事判例集』『高等裁判所刑事判例集』に登載された判決及び決定を閲覧することができます。判決要旨と全文(PDF)を調べることができます。
平成14年3月以降、各下級裁判所の「主要判決速報」のコーナーで紹介された裁判例を集約したものを閲覧することができます。平成15年4月15日以降の判決等から必要な範囲で要旨を掲載しています。
全文(PDF)を調べることができます。
・行政事件裁判例集
下級裁判所における行政事件のうち、『行政事件裁判例集』(昭和44年から平成9年)に掲載された判決と平成10年以降の主な裁判例をPDFで閲覧することができます。
『最高裁判所民事判例集』や『労働関係民事裁判例集』に掲載された判決を中心とした、昭和44年以降の労働事件の主要な裁判例をPDFで閲覧することができます。
知的財産権民事・行政事件のうち、『最高裁判所民事判例集』などに掲載された判決等と昭和44年以降の主な判決等をPDFで閲覧することができます。
この他、これらを合わせた「総合検索」もあります。「最高裁判所判例集」「下級裁判所判例集」「知的財産裁判例集」では最近の判例一覧が表示可能です。
平成17年1月以降出版された和図書及び和雑誌のみ、各資料の目次から参考になる法律記事等を網羅的に採録し、「内容細目」にデータ入力しています。
蔵書検索のフリーワード検索機能で、単語、条文、事件番号等で文献を表示することができます。
公正取引委員会が独占禁止法等に係る審決等のデータを公開しているページです。
事件番号・フリーキーワード・索引による検索ができるほか、審決一覧・独占禁止法法的措置一覧・下請法勧告一覧・消費者庁に移管する前の景品表示法に関するデータを掲載している景品表示法排除命令一覧を公正取引委員会のホームページで提供しています。
平成17年4月に知的財産高等裁判所が設立されてからの判決のほぼ全件と、決定などの一部を検索することができます(平成17年3月以前の判決等も一部含まれます)。
「最近の審決取消訴訟」や「最近の侵害訴訟等控訴事件」へのリンクもあります。
・兵庫県弁護士会 消費者問題判例検索システム
兵庫県弁護士会が、全国の弁護士等の協力の下に、消費者問題に関する判決等を収集し簡単な検索情報を付加して提供しています。
・労働基準関係判例検索 全国労働基準関係団体連合会
労働基準法等に関連する昭和23年以降の判例を、各種判例集等の情報をもとに抄録して掲載しています。
体系項目別一覧(労働基準法等の法律実務上問題となりやすい事項を体系的に設定し、事項ごとに分類)・ID番号一覧(全国労働基準関係団体連合会)が独自に付与した5桁のID番号)で検索することができます。
・労働保険審査会 厚生労働省
労働保険審査会が行った主な取消裁決、棄却裁決及び却下裁決および、平成15年度~平成24年度の全事案の要旨について掲載しています。
3-3 雑誌から探す
・『判例時報』 判例時報社 毎月1・11・21日発行。
論文である「記事」と「判例特報」「判決録」から成ります。
「判例特報」にはおおむね2件、「判決録」は〈行政〉〈民事〉〈知的財産権〉〈労働〉〈刑事〉に関する約15件の判例を紹介しています。
毎年刊行の総索引では、判例が関係法令順に配列されており、類似の判例を追うのに便利になっています。
他に「裁判年月日索引」「著名事件索引」があります。
「裁判年月日索引」はその年の『判例時報』に掲載された事例を紹介しているので、当該年の判決とは限りません。
・ 『判例評論』 判例時報社 『判例時報』の毎月1日号に「別冊」のような形で刊行されている判例評釈。
毎号5から10件の記事が記載されています。
1000号ごとに発行される臨時増刊『判例時報総索引』に『判例評論』の索引も含まれています。
・ 『ジュリスト』 有斐閣 月刊判例雑誌というよりも法律に関する雑誌ですが、「時の判例」として事件に関する〈事実〉〈判旨〉〈解説〉または〈評釈〉を掲載しています。
3-4 裁判所で閲覧・謄写する
多くの弁護士が使っている方法です。
データベースや雑誌、判例にも収録されていない判例は、民事事件であれば第一審の裁判所で、刑事事件であれば対応する検察庁で裁判記録を閲覧できる場合があります。
内容は次に書いておきますが、申請が認められない場合もありますので、詳細は記録を保管する裁判所や検察庁へお問い合わせください。
民事事件の場合
民事関係の事件記録の閲覧・謄写(コピー)の受付は、原則として裁判所の民事訴訟記録係で受付しています。
申請に当たっては、次のものが必要になります。
・申請書(窓口にあります)
・認印
・申請者本人であることを証明する書類
・申請手数料(謄写料は別)
第三者が閲覧する場合、利害関係人が申請する場合及び当事者でも事件が確定した後に申請する場合には、1件につき150円の収入印紙が必要です。
裁判所の民事記録閲覧、謄写のご案内(pdf)です。詳しくは、こちらをご覧ください。
刑事事件の場合
刑事事件の場合は、刑事事件に係る訴訟記録は、訴訟終結後、法律等で定められた一定期間、第一審裁判所に対応する検察庁で保管しています。
その保管期間内であれば閲覧・謄写(コピー)の請求をし、許可された場合は閲覧・謄写が可能です(法律等により閲覧・謄写が制限される場合もあります)。
熊本地方検察庁 「刑事事件記録の閲覧等について」
ここで、誰でも謄写・閲覧できるの?!と思い人がいるかもしれませんが、裁判の公開の原則(憲法82条)を徹底するため、誰でも民事訴訟事件の記録を閲覧できることになっています(民事訴訟法91条1項)。
裁判がある日は、裁判所の受付には、当日の裁判の法廷表が置かれるか、張り出され、法廷の前の廊下の壁には、当時者名、事件名が書かれた開廷表が張り出されます。
通常は、誰であるか気が付かれないでしょうが、ある程度名が知れた人は、裁判をしていることが知られるでしょう。
そこで、興味を引かれれば、前述の訴訟記録(訴状、答弁書、準備書面、尋問調書、和解調書、判決書)を閲覧するでしょう。
興味ある人は、受付または、法廷の前の廊下の壁に張ってある開廷表から、事件の事件番号、原告と被告の氏名をメモしておき、通常は、裁判所内にある記録閲覧室で記録を閲覧します。
しかし、普通の人が裁判をしていることを知られることは、あまりありません。当事者名がわかる場合は、裁判所の訟廷事務所で、係属部、事件番号を教えてもらえます。その後、記録閲覧室で、記録を閲覧します。
記録の保存期間は、判決原本(刑事事件を除く)は50年、和解調書は30年、事件記録は5年です。廃棄期間満了間近の場合は、理由を書いて「保存して欲しい」との上申書を提出すれば、裁判所は、保存期間を超えて記録を保存しておいてくれます。
当事者及び利害関係人は、訴訟記録のコピーを請求することができます(91条3項)。
なお、秘密保護のため、申立により、裁判所が、訴訟記録の閲覧・謄写などを制限することがあります(92条)。
いかがでしたか?インターネットや雑誌、書籍でなくても判決を検索する方法はあります。自分に合った目的や方法で探すといいですね。
現代の戦いは情報戦です。過去判例があれば勝つのは楽です。逆に過去判例がないとかなり苦労します。
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