何が名誉毀損に当たるのか?民事事件での判例と裁判までの流れ

「名誉毀損だ!訴えてやる!」と鼻息荒くしている人がいますが、そもそも名誉毀損を正しく理解していないと訴える事すらできません。

名誉毀損とは何を指すのか、名誉毀損されたらどう訴えればよいのかを簡潔にまとめます。

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1. 名誉毀損とはなんなのか?

名誉とは、人の有する社会的な評価のことであって、品性、善行、名声、信用などの人格的な評価のことをいいます。

この人格的評価は、法的に保護すべき利益とされており、これについて社会から受ける客観的評価(社会的評価)を低下させる行為を名誉毀損といいます。

少し詳しく説明すると、

(1)不特定または多数の人間に対し、
(2)ある人に関する「事実」を示して、
(3)その人の社会的評価を低下させることを指します。

(1)と(3)は理解しやすいと思いますが、問題は(2)です。

単に、「バカ」とか、「ブス」と表現しただけでは名誉毀損は成立しません(単なる「侮辱」のレベルです)。

あくまで、ある人の行動や、性格、思想、地位などに対し、「あの人の○○は、××である」といったように、「事実関係」を指摘することが要件となります。

なお、その事実が、真実か虚偽かは問われません。真実を言いふらした場合でも、名誉毀損は成立します。

2.民事事件と刑事事件の名誉毀損

一般的に言われている「名誉毀損」には2種類の意味があります。民事事件で扱う「名誉毀損」と刑事事件で扱う「名誉毀損」です。

刑事事件であれば、「名誉毀損罪」で警察署、検察庁に告訴することをさし、民事事件であれば、名誉毀損した相手に損害賠償請求を裁判所に申し立てることを差します。

刑事の場合は別の機会にまとめますので、今回は民事事件について説明します。

2-1 民事事件での名誉毀損

民事事件は、自ら裁判所に裁判を起こすことになります。民事事件はお金の問題ですので、名誉を傷つけられたことによる慰謝料や損害について、賠償を請求します。

ここで、民法を抜粋しますが、この「不法行為」は、他人の権利ないし利益を違法に侵害する行為のことをさしています。ただ、民法上の名誉毀損は、刑法に比べて適用の範囲がやや広くなっています。

不法行為による損害賠償

第709条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
(財産以外の損害の賠償)
第710条
他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
(名誉毀損における原状回復)
第723条
他人の名誉を毀損した者に対しては、裁判所は、被害者の請求により、損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができる。

2-2 民事事件での訴え方・流れ

1.裁判の前に、直接(内容証明等で)、名誉を毀損してきた相手に対していろいろ請求できます。(お金払え、記事撤回しろ、訂正記事載せろ、等々どんな請求でも。)ここで相手が応じるならば、わざわざ裁判する必要はありません。

2.原告が訴え提起

3.裁判開始 原告VS被告
4.判決(「被告は原告に~円払え」「原告の請求を棄却する」など)

民事訴訟では証拠集めるのも裁判所で攻防を繰り広げるのも、自分です。警察などは手伝ってはくれません。また、民法709条の「損害」は財産的な損害のみをいいます。精神的な損害は請求できないので、金額の算定がしにくいでしょう。

 2-3 民事事件での名誉毀損の例

「A眼科」という名称で診療所を営む医療法人社団について、インターネット上の掲示板に以下の記事が投稿された。
題名:「A眼科のセミナーいってきた」

本文:「あのヤロー他院の批判ばかりだよ。Bが裁判を抱えているって、お前のところは、去年3人失明させてるだろうが!」

この記事が当該医療法人社団及びその代表者(医師)に対する名誉毀損にあたるとして、投稿者に計150万円の損害賠償が命じられた。(東京地判平成16年11月17日)

 こんな例もありましたが、ただ、加害者・被害者双方が一般人である場合、慰謝料は低く認定される傾向にあり、現状としては、その平均額100万円を下回っています。

加害者が報道機関で被害者が一般人の場合の平均額はさらに高くなる傾向にあります。

3.名誉毀損しないために気をつけること

インターネットの世界は、顔が見えない分、気軽に自由に表現できるところがメリットと言われていますが、今後は、評価や批判などをするときは、相手がどう思うか、どう受け止めるか、自分だったらどんな風に考えるかなど相手のことも十分に考慮しながら、投稿をするといいのでしょう。

パソコンの向こう側には人がいて、あなたと同じように心があるということを忘れないでください。相手はパソコンではなくて、私たちと同じ人間なのです。

道具としてパソコンは最高ですが使い方を間違えると何よりも人の心を深く傷つける凶器になってしまいます。パソコンを使う一人一人がしっかりとモラルをもって利活用していきたいですね。


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