サイト売買契約書の項目と6つのチェックポイント

サイト売買を行うときに、「契約書はどうなるのか?」気になるところだと思います。

  • そもそも契約書は作成したほうが良いのか?
  • 作成するとしたらどんなことを記載すればいいのか?
  • 自分で作成することはできるのか?

など、一般的にはこのような疑問を持たれる方は多くいます。

結論から言うと、サイト売買においては契約書は非常に重要になります。そこで今回はサイト売買契約書の項目とチェックポイントについて解説していきます。

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1.サイト売買の契約書はなぜ必要なのか?

サイト売買を行う中で、その売買取引にはサイトそのものだけではなくて、サイト運営ノウハウやサイト会員、メルマガ読者など周辺の情報にも価値があります。また、ECサイトであれば、商品の仕入先の情報や発送ノウハウなども価値があります。

サイトの買い手側からしたら、このような周辺の価値がある情報も含めて譲渡してもらえると思い込んでしまうことがありますが、サイトの売り手側からしたら譲渡するものはサイトそのものだけであり、周辺の情報は譲渡しないものと思っていることも稀ではありません。

このように、お互いがそれぞれ「あたりまえ」と思っていることは売買契約書に記載せずに契約締結してしまうことが多く、実際に売買契約が締結した後に問題が発覚してトラブルになり、最悪の場合は訴訟沙汰に発展してしまいます。

そんなトラブルと防ぐためにも、サイト売買を行うときは必ず売買契約書を作成するようにしましょう。必要であれば専門家に相談することも必要になるかもしれませんが、のちに後悔しないように契約書に記載する内容はしっかり時間をかけて考えましょう。

2.サイト売買契約書の基本構成

売買契約書を作成するとは言え、サイト売買が初めての場合はどのようにつくればいいのかもわからないでしょう。仲介業者に依頼すれば契約書も一緒に作成してくれますが、自分だけで作るのは難しいとおもうかもしれません。

しかし、契約書はある程度のフォーマットが決まっているため、その方通りに作ってしまえば業者に依頼をしなくても契約書を作ることができます。

2-1.【前文】

●●(以下「甲」という)と△△(以下「乙」という)とは,甲が保有するWEBサイト事業を乙へ譲渡することに関し,以下の通り契約(以下「本契約」という)を締結する。

この前文は、この契約書が誰と誰の間での取り決めなのか、また契約の目的を宣言するために作られます。前文がなくても契約書の効力は変わりませんが契約書をわかりやすくするために記載されるのが一般的です。

2-2.【条文】

契約書のメインとなる部分が条文です。一般的に記載される項目を紹介していますが、案件によって内容は異なる場合があるので参考までにしていただきたいと思います。

  • 譲渡基準日
  • 譲渡対象の特定
  • サイトに付随する権利
  • 譲渡代金
  • 引き渡し期限
  • 表明及び保証
  • 競業禁止
  • 事業の運営
  • 瑕疵担保
  • 不可抗力
  • 秘密保持
  • 契約解除・損害賠償
  • 専属的合意管轄
  • 特記事項

弁護士に依頼しないで自分で契約書を作るのであれば、できるだけ細かく詳細まで記載したほうが良いでしょう。

後になって「あれも盛り込んでおけばよかった」と、気がついた時にはすでに遅いかもしれません。記載する内容はこれで良いか、何度も確認するようにしましょう。

2-3.【署名・協議事項】

契約書を入念に作成しても、イレギュラーな事案が発生することも考えられます。そこで、【協議事項】を一文入れておきます。

本契約に定めのない事項及び,疑義については,甲乙双方誠意をもって協議し解決を図ることとする。

この一文が後々重要になることもあります。

そして最後に、契約締結の証として契約書を2部作成し署名、捺印をして、それぞれが一部ずつ保管しておくことを明記します。

3.契約書を作成する上で知っておきたい法律

サイト売買の契約書を作成する上で知っておくと良い法律が3つあります。先ほどの契約書の【条文】の所にも載せていますが、

「個人情報保護法」

「瑕疵担保責任」

この2つについては、どのような内容か知っておきたい法律です。

[aside type=”normal”]簡単に解説しますが詳しく知りたいという方は「知っておきたい!サイト売買に関する法律まとめ」こちらの記事で解説しているので合わせてご覧ください。[/aside]

3-1.個人情報保護法

サイト売買の際に、譲渡対象物として「会員情報」「メルマガ読者」などが含まれる場合があります。サイト自体よりも会員情報やメルマガ読者のほうが重要という場合もありますが、これらは個人情報ですので、デリケートに扱わなければいけません。

結論から言うと、これらの個人情報は原則として本人の承諾が必要ですが、売買の対象とすることができます。「本人の承諾」というところがポイントかと思われますが、これに対して例外で

営業譲渡に伴い、個人データが提供される場合は会員本人の承諾なくして会員データを受け取ることができる

というものがあります。つまり、事業そのものを買収する場合は本人の承諾が無くても個人情報を受け取ることができます。

ただ、こちらは解釈が難しいと言われれば難しいので、不安な場合は弁護士に相談することをおすすめします。

3-2.瑕疵担保責任

瑕疵とは簡単に説明すると「欠陥・不具合」のことを言いますが、サイト売買においてはサイトが買い手側に譲渡されて、実際に運営を開始してから瑕疵が発覚するケースがあります。

瑕疵担保責任とは、そのような瑕疵が見つかった場合に売り手側が補修義務を負う責任があることを取り決める内容になります。

一定の期間(例えば6ヶ月)に限定して瑕疵担保責任を義務づけることを契約書に記載することもありますが、契約期間を過ぎてから瑕疵が見つかった場合、それが明らかに売り手側の問題であれば契約解除や損害賠償請求をすることができることを契約書に明記することもあります。

サイト売買には「瑕疵」のようなリスクもあるということも覚えておきましょう。

4.サイトを売る側が契約書に記載すべきポイント

契約書のフォーマットは決まっているため、基本的な構成で契約書を作ることができますが、売買するサイトの条件や、譲渡対象物などによっては契約書の内容が変わってきます。

ケースバイケースになりますが、サイトを売る側が記載すべき項目は以下の通りです。

4-1.譲渡対象物に「ならないモノ」の明記

譲渡対象物になるものは契約書の条文に記載しますが、「ならないモノ」についてまで注意が向けられないかもしれません。

買い手からの主張で、ECサイトの場合は仕入先の情報や、アフィリエイトサイトの場合はSEOのノウハウまで含めてサイトを買収したと言われることもあります。

特にサイト売買初心者にとってはどこまでを譲渡対象物にするかわからないと思いますが、「~だろう」は危険な考えなので、契約の際に聞き逃しの内容にしましょう。

4-2.引き継ぎ期間の明記

売る側の引き継ぎ期間の明記が重要なポイントとしては、相手がウェブのノウハウが無い場合に譲渡後にサイトの運営方法のサポートを求められることがあります。

もちろん、丁寧に運営ノウハウを教えることは重要ですが、いつまでもサポートできるわけではないと思います。

むしろ、サイトの運営ができなくなって売却するに至ったのに、いつまでもサポートしなくてはならないとなると、元も子もありません。

そこで、サポート内容・期間を含めた引き継ぎ期間を記載することがポイントになるのです。

5.サイトを買う側が契約書に記載すべきポイント

サイトを買う側にとっては、契約書の項目がその後のサイト運営に重大に関わることもあります。サイトを売る側よりも慎重に契約書に記載する項目を精査する必要があります。

5-1.サイト運営に必要なモノのを洗い出す

サイト売買が成立して譲渡も無事に終わっていざ運営を開始しようとしたときに、「どうやって運営すればいいかわからない」ということになることもあります。

そんなことあるの?と思うかもしれませんが、サイトを購入する側の中には、今までサイトを運営したことがない企業もあります。むしろ、そのような企業がサイトを購入したいと思うでしょう。

サイト運営は簡単にできると思いがちですが、更新するのに専門的な知識が必要ということもあります。せっかく良いサイトを購入したのに運営ができなくて売上が上がらないということもあります。

そのような事態にならないように、サイト運営に必要なモノは何かを洗い出しておきましょう。そして、必要な資産があれば売買の対象として譲渡してもらえるように交渉しましょう。

5-2.譲渡される権利の範囲

上で述べたような、サイト運営に必要なモノなどの周辺の資産を譲渡してもらう権利を確認することも重要ですが、

「サイトURL」

「ドメイン」

「サイトタイトル」

などのサイト自体が特定しておくことが一番重要です。

細かく言えば、写真、ロゴなどの著作権などの権利はどこまで売買の範囲になるのか、しっかりと明記することも必要になります。

6.サイト売買と競業禁止義務

サイト売買で双方が押さえておきたいのが「競業禁止義務」についてです。

競業禁止

売り主がサイト売買後に譲渡事業と競業関係にある事業を行なうと、買い主側が著しい損害を被るため、それを避けるために、一定の期間は同一事業を行わないとすること

サイトを売る側にとっては、譲渡事業のサイトを再び構築するノウハウは持っているため、競業関係になるサイトを構築することができてしまいます。

このような事実はサイトを買う側にとっては、競合となるサイトがすぐに現れることもあるので、非常に脅威であります。

そのため、サイトを買う側は安全に運営をするために競合禁止義務を契約書に記載した方が良いです。しかし、買う側にとっては競業禁止義務の設定はリスクになってしまいます。そのため、「競業禁止義務があるならサイトを売却しない」という人もとても多いようです。

なので、特にニッチな分野であったり特殊な技術が必要な分野のサイトである場合のみ、競業禁止義務を設定しておき、その他の場合には設定しない方が、スムーズに取引ができることもあります。

お互いにとってどのくらいのリスクになり得るのかの判断は難しい面もありますが、仲介業者に中立的な立場からの見解をもらうなど、落とし所を探っていきながら契約書の作成が必要です。

7.サイト売買契約書を作って未然にトラブルを防ぐ

サイト売買は日本ではまだ未発達のビジネスであり、そのため定義が曖昧であったり、グレーな部分があることは否めません。

もちろん、なんの問題もなくスムーズに売買契約が締結することもありますが、トラブルが発生し得ることを念頭に置くことはとても重要です。

だからこそ、当事者はサイト売買についての知識を最低限知っておく必要がありますし、トラブルを未然に防ぐ手段として契約書の制作に時間をかけることも必要になります。

特に、サイト売買を当事者同士でやってしまう場合や、個人が絡んでくる取引では、契約書の作成を疎かにしがちで、トラブルも起きやすくなってしまいます。

[aside type=”normal”]サイト売買ではどのようなトラブルがあるのか「サイト売買で発生するトラブルの原因とトラブル回避のコツ」こちらの記事で解説しているので参考にしてください。[/aside]

まとめ

今回の記事を読んで、サイト売買契約書で取り決めるべきことや注意することが意外と多いと感じた方もいるかもしれませんが、サイト売買初心者であれば今回紹介した内容は少なくとも押さえておくと良いです。

個人で売買を行う方は契約書を作成するのは面倒と思うかもしれませんが、後々トラブルが発生したときの面倒を考えると、事前にしっかりと契約書を作成したほうがスムーズな取引ができるでしょう。

また、今回の記事の内容を読んで「自分で契約書を作成するのは難しいかも」と思った方もいるでしょう。そのような方は、すべてを自分でやろうとせずに仲介業者に依頼したり弁護士に依頼することをおすすめします。