従業員が営業秘密を漏洩した場合の対策事例

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従業員が営業秘密を持ち出す事件が急増しています。

 

経済産業省が平成25年に発表したデータによると、
1万社に対して過去5年間に営業秘密の漏えい事件が
あったかどうかのアンケートを送ったところ、

回答のあった企業3,011社のうち
13.5%の企業が、何らかの営業秘密漏洩を
経験していると回答したそうです。

 

営業秘密の漏洩は、
他人事ではなく今日明日にも
あなたの身に降りかかるかもしれない問題です。

 

 

 

zikeidancta

1.なぜ従業員による営業秘密の漏洩が増えたのか

 

近年、雇用における労使双方の意識の変化が
顕著になっています。

 

高度経済成長期からバブル期までの雇用形態は、
終身雇用が当たり前でした。

 

企業側は定年までの収入を保証する代わりに
労働者に自社に対する忠誠心を求めてきました。

 

一方、労働者側にも会社の不利益になるようなことは
絶対にしてはならないという不文律があったと思います。

 

しかし、バブル経済の崩壊と共に
業績の悪化に喘ぐことになった多くの企業は、
いくつもの打開策を模索する中で、
業績に応じた給与体系に変えることで
活路を見いだそうとしました。

 

その結果、終身雇用制度が崩壊することに
つながったのだと言われています。

 

終身雇用制度の崩壊によって
二つの問題が生じました。

 

ひとつは、内部の機密情報を持つ社員が
社外に出てしまうことで、
もうひとつは、情報を持って辞める社員に
情報を公開させないようにする就業規則の改訂が
後手に回ったことです。

 

それまで勤めていた社員が他社に行けば、
当然のことながら、自社の情報は筒抜けになります。

 

その前に自社の情報を他社に漏らさないという誓約を
とっていれば少しは効果があったかもしれませんが、
そのような制度が必要だと気が付いた時には既に手遅れでした。

 

終身雇用制の中で培われてきた就業規則は、
労働条件がメインで、社員が辞めて他社に移動することは
あまり想定されていませんでした。

 

その為、営業秘密の保護には、
ほとんど重点が置かれていなかったのです。

 

皮肉なことに大企業ほど
自社の社員が辞めてライバル企業に行くことは
想定していなかったと思います。

 

そして、中小企業は手間を掛けて独自の就業規則を
作るよりも、大企業の就業規則をお手本にして
自社の就業規則を作成することを選びました。

 

この為、営業秘密についての保全に関する労働契約は
十分な検討がなされてきませんでした。

 

この問題の対処については、
次章で詳しくお話したいと思います。

 

 

2.従業員による営業秘密の漏洩があった時の対処法

 

まず最初に考えることは、法的手段の検討です。

 

相手を刑事告訴ができるかどうかについて考えてみましょう。

 

営業秘密を持ち出した状況によっては10年以下の懲役に
持ち込める可能性もあります。

 

損害賠償請求訴訟を起こすこともできます。

 

それ以外にも、
販売の差止請求や謝罪広告の掲載を求めることも可能です。

 

とはいえ、
裁判において営業秘密と認められる為には
不正競争防止法上の保護の対象となる必要があります。

 

不正競争防止法によって保護の対象となるには
次章でお話する3つの要件を満たしている必要があります。

 

 

3.法律の適用を受ける為に必要な要件とは

 

不正競争防止法によって、
営業秘密が保護される為には、
次の3つの要件をすべて満たす必要があります。

 

3-1 秘密管理性

・秘密として管理されていることが客観的にわかること

・情報にアクセスできる者が制限されていること(アクセス制限)

・情報にアクセスした者にその情報が秘密であると認識できること(客観的認識可能性)

 

3-2 有用性

・有用な営業上または技術上の情報であること

・当該情報自体が客観的に事業活動に利用されていたり、
利用されることによって、経費の節約、
経営効率の改善等に役立つものであること。
但し、現実に利用されていなくても良い。

 

3-3 非公知性

・保有者の管理下以外では一般に入手できないこと

 

 

 

この3つを証明できれば、不正競争防止法で
保護してもらうことができます。

 

詳しく知りたい方は下記のリンクから
経済産業省のホームページで確認をしてください。

 

不正競争防止法の概要と改正(経済産業省ホームページ)

 

 

 

4.営業秘密の漏洩を防ぐには

 

4-1 就業規則に営業秘密に関する項目を追加する

 

就業規則の服務規定において、
営業秘密に関する持ち出しの禁止を明記します。

 

社内の重要情報についても、持ち出し禁止とした上で
重要フォルダへのアクセスを制限するとか、
アクセス記録をチェックするなどといった
物理的な対策すると効果があります。

 

特に秘匿性の高い情報については、
外部との通信を遮断したサーバーに
保管することが推奨されています。

 

そういった細かいことも
規定で決めておくと良いと思います。

 

 

4-2 秘密保持に関する誓約書

 

すべての従業員から機密保持に関する
誓約書をいただいてください。

 

入社時に誓約書にサインしてもらうのが一般的だと思いますが、
機密情報を扱うプロジェクトに参加する時などにも
その都度、誓約書を書かせることも意識付になる
という点で効果があります。

 

誓約書の提出をルール化しておくと
守秘義務の意識が薄い従業員への抑止効果が
期待できます。

 

 

4-3 退職時の情報の回収

 

会社が保有管理している情報以外にも、
従業員が業務として集めた情報にも大切な物があります。

 

例えば、取引先や顧客の名刺などの情報です。

 

これらは、ライバルには知られたくない情報です。

 

エクセルやワードなどにして管理しているケースありますので、
すべてのファイルを回収するようにしてください。

 

退職時には、媒体の如何にかかわらず、
保有することを禁止しておく必要があります。

 

 

新入社員研修などにこれらの情報を
盛り込む企業が多くなっています。

 

更に、既に働いている社員にこれらの情報を
周知させるため、弁護士を呼んで社内研修をする
企業も増えています。

 

経済産業省が実施したアンケートの結果によると
就業規則以外に秘密保持契約を締結している企業は、

対役員では40%

対従業員では55.5%

にもなっています。

 

 

5.まとめ

 

いかがでしょうか。

 

営業秘密が漏洩してしまった場合の対処法について
概略のイメージは掴んで頂けたと思います。

 

この先、具体的な手順を考えたり、
決めたりする必要があるかと思いますので、
経済産業省が策定したガイドラインをご紹介いたします。

 

営業秘密管理チェックシート

 

 

こちらのチェックシートを使うと、
以下のことがわかります。

 

個別の秘密情報について、
適切な管理を実施しているかどうかがわかります。

自社の秘密情報に関する管理の問題点がわかります。

自社がどの水準の管理体制を構築するべきかの判断を
する際の参考資料となります。

機密性のレベルを数段階に分けて管理したい時に、
レベル毎の管理基準を検討する資料となります。

 

 

もうひとつ参考資料として
営業秘密管理指針をご紹介します。

 

営業秘密管理指針(平成27年1月28日改訂)経済産業省作成

 

 

 

こちらの資料は経済産業省が、
適切な営業秘密管理をしたい企業に対して
支援することを目的に作ったガイドラインです。

 

概要は下記の通りです。

 

事業者の実態を踏まえた合理性のある秘密管理方法の提示

①営業秘密と認められるための管理方法と、

②漏洩リスクを最小化するための高度な管理方法とを分けて具体的に列挙

 

営業秘密管理チェックシートや管理体制を構築するための
具体的な導入手順などの実践的な内容を掲載

 

 

これらの資料を参考に貴社独自のルールを
作られてみてはいかがでしょうか。

 


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