個人情報保護法23条のおかげで学校は連絡網も作れないの?

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個人情報保護法については、前回の解説で大まかなことは知って頂けたでしょう。

最強権限!弁護士法23条の解説と個人情報保護法との関連性

そこで今回は、中核部分の一つ、23条の第三者提供の制限について、条文と説明をします。

最後には事例と対応を書いています。

 

まず、個人情報保護法とは、個人情報に関して、
本人の権利や利益を保護するため、個人情報を取り扱い業者などに一定の義務を課す法律です。

正式名称は、「個人情報の保護に関する法律」、
2005年4月1日に全面施行されました。

そして、個人情報保護法23条は、第四章 個人情報取扱事業者の義務等の中の第一節、
個人情報取扱事業者の義務(第十五条-第三十六条)の中にあります。

個人情報取扱事業者が個人情報を扱う際の、利用目的の特定・制限、適正な取得、正確性の確保、安全管理措置、従業員・委託先の管理、第三者提供、開示・訂正・利用停止等の個人参加などについての義務にある中核的な部分です。

ちなみに、第二節は民間団体による個人情報の保護の推進(第三十七条-第四十九条)です。

 

1.個人情報保護法23条と説明、補足

さて、23条はどんなものか、条文をそのまま紹介すると…

 

(第三者提供の制限)

第二十三条 個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかしめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。

一 法令に基づく場合

二 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。

三 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。

四 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。

 

まず、個人データの第三者提供は禁止すると書いています。

これにより、あらかじめ本人の同意を得ない限り、個人データの第三者提供はできません。

ただし、次の項に例外の規定があり、この法律の施行前に、本項の同意に相当するものをすでに取得している場合は、施行後にあらためて同意をとる必要はないと書いてあります。

 

2 個人情報取扱事業者は、第三者に提供される個人データについて、本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止することとしている場合であって、次に掲げる事項について、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置いているときは、前項の規定にかかわらず、当該個人データを第三者に提供することができる。

一  第三者への提供を利用目的とすること。

二  第三者に提供される個人データの項目 

三  第三者への提供の手段又は方法  

四  本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止すること。

 

2については、個人データの第三者提供は原則として禁止されるが、本項はその例外(あらかじめ本人の同意がない場合でも第三者提供ができる場合)を規定するものです。

利用目的が第三者提供であること、提供される個人データの項目、提供の手段又は方法、本人の要求する場合は提供を停止することをあらかじめ、本人に通知し又は容易に知りうる状態においているときは、本人の同意がない場合でも、第三者提供が可能です。

第三者提供についてあらかじめ本人の同意を得ることを画一的に要求すると、個人データの第三者提供を事業とする事業者の存立を否定することになるので、こうした例外規定を設けてあります。

ここで想定されている典型的な事業は、表札を調べて住宅地図を作製し、販売する住宅地図業者、ダイレクトメール用の名簿を作成し、販売するデータベース事業者などです。

したがって、この法律は、名簿業者の存在を否定するものではありません。

尚、この法律の施行前に、本項に言う通知に相当する通知がなされている場合は、 あらためて通知を行う必要はないということです。

 

3. 個人情報取扱事業者は、前項第二号又は第三号に掲げる事項を変更する場合は、変更する内容について、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置かなければならない。

 

3は、前項に規定する2号(提供される個人データの項目)又は3号(提供の手段又は方法)を変更する場合は、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置かなければならないこととされています。

 

4.次に掲げる場合において、当該個人データの提供を受ける者は、前三項の規定の適用については、第三者に該当しないものとする。

一  個人情報取扱事業者が利用目的の達成に必要な範囲内において個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合

二  合併その他の事由による事業の承継に伴って個人データが提供される場合

三  個人データを特定の者との間で共同して利用する場合であって、その旨並びに共同して利用される個人データの項目、共同して利用する者の範囲、利用する者の利用目的及び当該個人データの管理について責任を有する者の氏名又は名称について、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置いているとき。

原則として提供が禁止される第三者の範囲に関する例外を定めるものである。

1号は、データの打ち込みなど、情報処理を委託するために個人情報を渡したり
百貨店が注文を受けた商品の配送のために、宅配業者に個人情報を渡す場合などがあります。

2号は、合併・分社化により、新会社に顧客情報を渡したり、
営業譲渡により、譲渡先企業に顧客情報を渡す場合です。

また、3号については、特定の者との間で共同して利用する場合であり、
親会社と子会社間、グループ会社間で利用する場合が想定されます。

金融機関の間で、延滞や貸倒れ等の情報を交換する場合もこれにあたります。

この場合は、特定の者との間で共同して利用する旨、
利用される個人データの 項目、共同して利用する者の範囲、
利用目的、管理責任者の氏名又は名称を、あらかじめ、本人に通知し、
又は本人が容易に知りうる状態においている必要があります。

尚、この法律の施行前に、本項に言う通知に相当する通知がなされている場合は
あらためて通知を行う必要はありません。

 

5  個人情報取扱事業者は、前項第三号に規定する利用する者の利用目的又は個人データの管理について責任を有する者の氏名若しくは名称を変更する場合は、変更する内容について、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置かなければならない。

 

前項3号に規定する利用目的、又は管理責任者の氏名もしくは名称を変更する場合は、変更する内容について、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置かなければなりません。

 

2.個人情報保護法23条を扱った事例と対応

これだけでは、分かりにくい人のために、少し事例を挙げると、

2-1 本人からの同意を得る等により個人情報を提供できる場合

事例
名簿の作成・配布 学校でクラス名簿や緊急連絡網を作成・配布できるかどうか?

対応について
入学時や新学期の開始時に、
「生徒の指名、住所など学校が取得した個人情報については、クラス名簿や緊急連絡網として関係者へ配布する」
ことを明示し、同意の上で予定の用紙に個人情報を記入提出してもらうこと、
または同意に代わるような措置をとることにより、作成や配布が可能です。

 

2-2 本人が同意を得なくても個人情報を提供できる場合

人の生命、身体又は財産の保護に必要な場合の情報提供(個人情報保護法第23条第1 項第2号)

 

事例 1
大模災害や事故等で、意識不明で身元の確認ができない多数の患者が複数の医療機関に分散して搬送されている場合に、患者の家族又は関係者と称する人から、患者が搬送されているかという電話での問い合わせがありました。相手が家族等であるか十分に確認できないのですが、患者の存否情報を回答してもよいか?

対応について
患者が意識不明であれば、本人の同意を得ることは困難な場合に該当します。また、個人情報保護法第23条第1項第2号の「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合」の「人」には、患者本人だけではなく、第三者である患者の家族や職場の人等も含まれます。

このため、このような場合は、第三者提供の例外に該当し、本人の同意を得ずに存否情報等を回答することができ得ると考えられるので、災害の規模等を勘案して、本人の安否を家族等の関係者に迅速に伝えることによる本人や家族等の安心や生命、身体又は財産の保護等に資するような情報提供を行うべきと考えます。

なお、「本人の同意を得ることが困難な場合」については、本人が意識不明である場合等のほか、医療機関としての通常の体制と比較して、非常に多数の傷病者が一時に搬送され、家族等からの問い合わせに迅速に対応するためには、本人の同意を得るための作業を行うことが著しく不合理と考えられる場合も含まれるものと考えます。

 

事例 2
過去に販売した製品に不具合が発生したため、製造会社で当該製品を回収することになりました。販売会社を通じて購入者情報を提供してもらい、製造会社から購入者に連絡を取りたいのですが、購入者数が膨大なため、販売会社が購入者全員から第三者提供についての同意を得るのは困難です。さらに、製品の不具合による人命に関わる事故が発生するおそれもあるため、製品を至急回収したいのですが、このような場合でも購入者全員の同意を得なければならないですか。

対応について
製品の不具合が重大な事故を引き起こす危険性がある場合で、購入者に緊急に連絡を取る必要があるが、購入者が膨大で、購入者全員から同意を得るための時間的余裕もないときは、販売会社から購入者の情報を提供することは、個人情報保護法第23条第1項第2号(第三者提供制限の適用除外)で規定する「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき」に該当するため、購入者本人の同意を得る必要はありません。
事例 3
刑事訴訟法第197条第2項に基づき、警察から顧客に関する情報について照会があった場合、顧客本人の同意を得ずに回答してもよいのか?

対応について
警察や検察等の捜査機関からの照会(刑事訴訟法第197条第2項)に対する回答は、「法令に基づく場合」(個人情報保護法第23条第1項第1号)に該当するため、照会に応じて顧客情報を提供する際に本人の同意を得る必要はありません。なお、照会は、捜査に必要な場合に行われるもので、相手方に回答すべき義務を課すものと解されており、また、上記照会により求められた顧客情報を本人の同意なく回答することが民法上の不法行為を構成することは、通常考えにくいため、照会には、一般に回答をすべきであると考えられます。ただし、照会に応じ警察等に対し顧客情報を提供する場合には、当該情報提供を求めた捜査官等の役職、氏名を確認するとともに、その求めに応じ提供したことを後日説明できるようにしておくことが必要と思われます。
今回は、個人情報保護法23条について説明しました。

ちょっと専門的すぎるのですが、
これからの情報社会に知っておくと良い知識だと思います。

また、
対応に困った時になどにこの記事が役に立てばと思います。

 


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