ネットでの軽い悪口が「中傷」になり「罪」になり逮捕される

警視庁によると、サイバー犯罪の中でも、「名誉棄損・誹謗中傷等に関する相談」件数は、毎年1万件を超えています。相談件数なので、氷山の一角であり、実際にはもっと多くの方が悩んでいるということになるでしょう。

実名を出されて中傷された、なりすましに事実と異なる書き込みをされたなど、相談内容は様々です。

インターネットは匿名性が高く、根拠のないデタラメなどで人や企業の社会的信頼や名誉を傷つける行為は増加しています。中傷行為は犯罪になりえます。業務妨害罪、名誉毀損罪、信用毀損、侮辱罪、脅迫罪など実際に逮捕され、刑罰が下ることもあります。

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1.中傷が罪になる場合とならない場合

悪口や批判、指摘といった或を超えて、中傷が有罪になるのはどのような場合でしょうか。

1-1 名誉毀損罪

名誉毀損とは、不特定または多数の人が知ることができる状態で、その人の社会的評価を引き下げることです。

「公然と事実を適示し、人の名誉を棄損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する」(刑法230条) 

不特定または多数の人が認識可能ということは、ネット上の書き込みも公然にあたるとされています。書かれたことが事実であっても、その内容によって、ある人の社会的評価を下げるのであれば、名誉毀損罪が成立します。

中傷行為によって個人や企業に対しその評価を下げてしまい、実害を出している時には、損害賠償請求される場合もあります。

ただし、刑法230の2では、「行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であったことの証明があったときは、これを罰しない」とあります。

たとえば公人に対しての真実の告発などは、名誉毀損にあたらないとされています。公益性がある可能性があれば、罪にならないことがあるのです。

また、名誉毀損は故意に行った場合に成立します。事実でない場合でも、それを事実と信じていて、さらに信じるに相当な理由があった場合には、故意がないとされ、名誉毀損罪にあたらないとされています。

1-2 侮辱罪

事実を指摘せず、不特定多数の人が認識できる状態で、人を侮辱するのが侮辱罪です。人の人格を蔑視するような価値判断を表現することで、抽象的な事実でも成立します。

「事実を適示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する」(刑法231条)

たとえば、「〇〇はバカだ」「〇〇はぶさいく」といったものが相当します。

こちらはただの悪口や、男女のもつれの上でというものも多く、実際に刑事告訴として受理されることはあまりないようです。名誉毀損罪とともに、親告罪となっています。被害者の刑事告訴が必要となります。

1-3 信用毀損罪、業務妨害罪

経済的側面における社会的な評価や、広く職業その他継続して従事する事務または事業を、毀損したり妨害したりした場合に適用されます。

「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万以下の罰金に処する。」(刑法233条)

ある会社について根拠のない風評の書き込みが、信用毀損罪にあたる場合があります。業務妨害罪には、偽計業務妨害と、威力業務妨害があります。

学校を名指しし、「殺しに行く」との書き込みに対し、威力業務妨害で逮捕された事例があります。威力を用い他人の業務を妨害することです。

また偽計業務妨害の例としては、「〇〇日の〇時に、〇〇駅に爆弾をしかけてやる」と書き込んで逮捕された例があります。

こちらは、嘘の書き込みや、相手に誤解を招く行為をしたとき、または人目にふれない状態で他人の業務を妨害することなどです。中傷が勢いあまって、こうした業務妨害罪にあたる場合もあります。

1-4 脅迫罪

人やその親族の生命、身体、自由、名誉、財産などに対し、害悪の告知をする行為が、脅迫罪が成立する要件です。「殺してやる」「子どもを誘拐する」「クビにするぞ」などの書き込みがあり、恐怖に値するようであれば、脅迫罪にあたる可能性があります。

特定の人物への「殺す」という内容は脅迫罪にあたりますが、企業や不特定多数が相手の場合は脅迫罪にあたりません。この場合は、業務妨害罪が成立する場合があります。

2.未成年のサイトにおける事例

現代社会では、ネット環境が当たり前の世界で育っている子供たちの間でも、名誉毀損や侮辱にあたる掲載がされている場合があります。

目に見えるいじめと違い、学校裏サイトなどでの子供間のいじめや心無い言葉の暴力は、大人の気づかないところで進行し、深刻な被害が出る可能性もあります。対策などが追いついていないところもあるので、親や学校などの注意深い対応が求められるところです。

3.まとめ

ネットが身近なものになり、書き込みが容易になったことで、軽い気持ちで批判的な内容を書いてしまうこともあるでしょう。

悪意をもって書かれたものはもちろんですが、発信しやすい環境があるために、うっかり感情的になって加害者になってしまう可能性もあります。インターネットの書き込みが犯罪になるケースは今後もあとを絶たないと思われますので注意が必要です。

また自分自身や自分の勤める会社などが中傷された場合、どのように対応したらいいのかを準備しておくことも大切です。


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